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大学入学前にいくら貯めるべき?教育費の目安と賢い貯金方法、負担を減らすコツを紹介

大学入学前にいくら貯めるべき?教育費の目安と賢い貯金方法、負担を減らすコツを紹介
子どもの大学進学を控え、教育費に対する不安を感じている保護者の方は多いのではないでしょうか。

「大学入学までにいくら貯めれば安心できるのかな…」
「教育費の負担が家計に重くのしかからないか心配だな…」
など、将来の生活設計に頭を悩ませることもあるでしょう。

特に、教育費は大学進学前後に急増するため、具体的な金額を把握していないと予想外の負担が発生することも少なくありません。

本コラムでは、大学入学前に準備すべき教育費の目安と、実際にどの程度の貯金が必要なのかを詳しく解説します。負担を軽減するための具体的な対策についても紹介するので、参考にしてみてください。

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大学進学にかかる学費の目安

大学進学にかかる費用には、大きく分けて「入学費用」「授業料」「設備費」の3つがあります。

これらの費用は、国公立大学と私立大学で異なります。具体的に、それぞれの平均額を見ていきましょう。

国公立の平均額

国立大学の学費は、文部科学省によって標準額が設定されています。

初年度にかかる費用は、入学金282,000円と授業料535,800円を合わせた817,800円です(※1)。

この金額は、大学・学部による違いはありません。ただし、各大学の裁量で最大20%までの増額が可能で、最近では東京大学で20年ぶりに授業料の値上げが実施されました(※2)。値上げする大学はまだまだ少数派ですが、志望大学の公式サイトで確認するようにしましょう。

一方、公立大学の場合、入学金は地域内外で異なることがあります。
2023年度の学生納付金調査結果によると、地元地域の学生は初年度に70〜80万円程度、地域外の学生は100万円前後の費用が必要です(※3)。

(※1)参照:文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」
(※2)参照:毎日新聞
(※3)参照:2023年度 学生納付金調査結果(大学昼間部)

私立大学の平均額

私立大学は、大学や学部によって学費が異なります。

文部科学省では、令和5年度の私立大学(学部)における学費の平均値を発表しているので、見ていきましょう。

出典:令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等 平均額(定員1人当たり)の調査結果について|文部科学省

上記のデータをみると、医歯系学部が授業料・入学料・施設設備費ともに高いことが分かります。

ただ、この費用は初年度の平均額なので、2年目以降は「入学料」を省いた費用が目安になるでしょう。

また、上記は学部による比較データなので、詳しい学費は各大学の公式ホームページより確認してみてください。

大学学費については以下の記事でより詳しく解説していますので、合わせて参考にしてください。

大学が始まってからの生活費やその他費用

大学進学に必要な費用は、学費だけではありません。
大学が始まってからも、生活費やその他費用がかかります。

ここからは、それぞれの費用目安を解説します。

生活費(一人暮らしの場合)

一人暮らしの大学生の場合、生活費がかかります。

全国大学生活協同組合連合会の「第59回学生生活実態調査(※4)」によると、大学生の一人暮らしにかかる生活費の平均は、月12万7,500円であることが分かりました。

(※4)参照:全国大学生活協同組合連合会「第59回学生生活実態調査」

支出の中で突出して費用がかかっているのは住居費で、次に食費が続きます。

「貯金・繰越」を除くと、月にかかる生活費は11万2,760円かかることになります。

この数字はあくまで平均値なので、月によって変動はあるでしょう。ただ、大学生活は長い場合で4年以上続くこともあるので、大きな支出になることは間違いありません。

上記の生活費は、目安として理解しておきましょう。

子どもへの仕送り

大学生活が始まると、多くの家庭で親が子どもに仕送りを行う場合があります。

特に一人暮らしをする学生に対しては、生活費をサポートしている家庭は多いでしょう。

全国大学生活協同組合連合会の同調査によると、大学生への仕送り額の平均は月6〜7万円程度となっています。

この金額には、家賃や食費、光熱費、その他の生活費が含まれますが、地域や大学の所在地によっては、さらに多くの費用がかかる場合もあります。

仕送り額は、各家庭の状況に合わせて計画的に考える必要があるでしょう。

大学入学前に親はいくら貯めたらいい?

ここまで見てきたように、大学進学には多くの費用がかかります。
特に、私立大学や専門学部を選んだ場合、場合によっては何千万単位の費用が必要になることもあるでしょう。

子ども一人でこれらの費用をすべて負担するのは難しいため、親として「大学入学前にどれくらい貯金しておくべきか?」と悩むことは自然なことです。

具体的に、親が貯めておいた方がいい金額の目安を紹介します。

選択する大学や学部によって必要な金額が異なる

まず、必要な金額は、進学する大学の種類や学部によって大きく変わります。

国立大学であれば、初年度の納付額は81万円前後ですが、私立大学や医学部などは大幅に増える可能性があります。

また、一人暮らしをする場合は、生活費も考慮しなければなりません。

したがって、志望する大学や生活スタイルに応じてどの程度の費用がかかるのかを事前にしっかりと把握することが重要です。

家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)による平均資産

実際に、周りの家庭はどの程度貯蓄しているのか、平均値を参考にしてみるのもおすすめです。

「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)(※5)」によると、「夫婦と子ども」世帯の金融資産の平均は1,212万円という結果が出ました。中央値は400万円です。

こうしたみると「平均値が1,000万円だなんて、我が家とかけ離れている…」と思うかもしれません。

この場合の「平均値」は、すべての数値を合計して、それを個数で割った値です。そのため、資産が非常に多い世帯がいる場合、その影響で全体の数値が高くなります。

ここで注目したいのが「中央値」です。「中央値」は、データを小さい順に並べたときに、真ん中に位置する数値を指します。たとえば、10世帯の資産額を小さい順に並べた場合、その真ん中にくる世帯の資産額が中央値です。

金融広報中央委員会の調査によると「夫婦と子ども」の金融資産の中央値は、400万円です。貯蓄額の目安としては「中央値」を参考にすると現実的といえるでしょう。

このように、世帯によって貯金額には大きな差がありますが、貯蓄額が多い家庭は余裕を持って教育費を準備できる一方で、貯蓄が少ない家庭は教育費の負担が重くなる可能性があります。

将来を見据えて、早い段階から準備を進めるといいでしょう。

(※5)参照:家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)

最低でも500万円は貯金しておくと安心

では、一体いくら貯めておくのが安心なのか気になるところでしょう。

一般的には、大学進学に備えて最低でも500万円を貯めておくと安心だといわれています。

しかし、この金額はあくまで参考にすぎません。実際には家庭の収入や支出状況、子どもの進路などによって大きく異なります。

たとえば、私立大学や遠方への進学、一人暮らしなどを伴う場合は、より多くの資金が必要となるでしょう。

教育費の計画は、家庭ごとの状況に合わせたプランが必要です。進学先や進路によって費用の差が大きいので、家族全員で現実的なプランを立て、余裕を持って準備を進めてみてください。

大学入学前に親が賢く貯金する方法

それでは、親が賢く教育資金を貯めるための方法を紹介します。

早期からの積立貯金

最もシンプルで安定した方法が、早期からの積立貯金です。

子どもがまだ小さいうちから、毎月一定額を貯金しておくことで、将来の大学進学費用を効率的に準備できます。

たとえば、大学入学までの18年間で月に1万円ずつ貯金すれば、合計216万円貯まります。

これに加えて、ボーナス時に少し多めに貯金をするといいかもしれません。

また、積立専用の口座を作るのもおすすめです。定期預金や積立型の普通預金を活用すると、途中でお金を引き出すことがほとんどなく貯めていけるでしょう。

児童手当の活用

児童手当を大学資金として活用する方法もあります。

児童手当は、子どもが生まれてから高校生(18歳の誕生日以後の3月31日まで)まで支給される政府の支援金です。

多くの家庭では、児童手当を子どもの教育費や生活費として使ってしまうことが多いかもしれません。

しかし、教育資金の一部として計画的に貯めておくことも有効な方法です。児童手当は、以下の金額で支給されます。

児童の年齢児童手当の額(一人あたり月額)
3歳未満15,000円(第3子以降は30,000円)
3歳以上 高校生年代まで10,000円(第3子以降は30,000円)

(※2024年10月時点)
参照:こども家庭庁 児童手当制度のご案内

2024年10月以前の児童手当は、中学校卒業までが支給対象でした。しかし、2024年10月分から児童手当が大幅拡充され、高校生年代までに変更になりました。

こうした手当を大学資金として活用することで、進学時の経済的負担を大幅に軽減できるでしょう。

学資保険の利用

子どもの教育費を効率よく貯める方法として、学資保険を利用する手もあります。

学資保険は、一定の年齢や学年になったときにまとまった資金が支給される保険商品で、教育費を計画的に準備したい場合に有効でしょう。

保険料は毎月支払いますが、契約内容によっては払い込んだ保険料に利息がつき、満期時にプラスアルファで受け取れる場合もあります。

また、学資保険の大きなメリットの一つは、保護者に万が一のことがあった場合でも、以降の保険料の支払いが免除され、満期時に予定通りの金額を受け取れる点です。

ただし、途中解約すると、元本として支払ったお金よりも受け取れるお金が少なくなるケースがあります。メリットとデメリットの両方を理解して検討するといいでしょう。

投資信託や株式の積立投資

投資信託や株式の積立投資を利用して資金を増やす方法もあります。

積立型の投資は、長期的に運用することで資産が増える可能性があり、低金利時においては効率的な資産運用として有効でしょう。NISAを利用すれば税制優遇が受けられるため、運用益に対する税金が非課税になります。

もちろん投資にはリスクが付きものですが、資金を増やす手段を増やしたい場合は、教育費の一部を投資に充てるのも選択肢の一つでしょう。

大学入学前の貯金で親が気をつけること

子どもの大学入学までに「教育資金として貯金を始めよう!」と思われている方は多いでしょう。

ただし、子どもの大学資金を貯金する際に、いくつか気を付けるべき点があります。

1年間に贈与する金額が110万円を超えると贈与税がかかる

親が子ども名義の口座を開設して管理している場合は、贈与税について理解しておきましょう。

子どもの大学資金を貯めるために、親が子ども名義の口座を作り、そこに定期的にお金を振り込むのはよくある方法です。しかしこの場合、贈与税に注意しなければいけません。

日本の税法では、1年間に個人から個人へ贈与された金額が110万円を超えると贈与税が発生します。これは「贈与税の基礎控除額」で定められ、親から子ども名義の口座へ振り込んだ場合や、夫婦間であっても対象になります。

1年間に子ども名義の口座に振り込む金額が110万円以内であれば、贈与税はかかりません。

たとえ子どものために貯めたお金であっても、法律上は「贈与」とみなされるため、金額が大きい場合は事前に税務上のリスクを確認しておく必要があるでしょう。

(※税法上の取扱いについては2024年10月現在の税制に基づくものです。今後、税制の変更の伴い取扱いが変わる場合があるので注意してください)

(※6)参照:国税庁 – 贈与税の概要

子ども用の貯金は口座名義を分けないと生活費と混同しやすくなる

子どもの大学資金を計画的に貯めるためには、子ども専用の口座を作ることが大切です。

親の口座と教育資金を同じ口座で管理してしまうと、日々の生活費やその他支出と混同しやすく、計画通りに貯蓄が進まない可能性があります。

子ども名義の口座であれば、どのくらいの金額が大学資金として確保されているのかが一目でわかり、目的に応じて貯金を管理しやすくなるでしょう。

また、将来的に仕送りや学費を支払う際にも、別口座があれば支出の管理がスムーズに進むため、経済的な計画性を持って子どもの進学をサポートできるはずです。

子どもが成人したら親権者の利用に制限がかかるので注意

子ども名義の口座は、未成年の間は親が管理することが一般的ですが、子どもが成人するとその口座に対する親の管理権限に制限がかかります。

成人した子どもは、法律上、自分の資産を管理する権利が認められるため、親が勝手にお金を引き出したり、口座を操作したりすることが難しくなります。

大学資金として貯めてきたお金の取り扱いについては、親子でしっかり話し合っておく必要があるでしょう。

子ども用口座を開設しても10年以上取引がないと引き出せなくなる

子ども名義の口座を開設しても、長期間にわたり取引がないと、その口座は「休眠預金」として扱われ、最悪の場合、引き出せなくなってしまうかもしれません(※7)。

具体的には、10年以上お金の出し入れがない場合、口座が凍結されるリスクが高まります。

定期的に入金や残高確認を行うことで、口座の状態を維持し、突然のトラブルを回避するよう意識しましょう。

(※7)参照:金融庁

大学入学前に必要なお金を準備できなかったら?

子どもの大学進学が目前に迫っていても、教育費を全て準備できていない家庭は少なくありません。

資金が足りない場合「進学を諦めなければいけないのか?」と心配になる方は多いでしょう。

そのような事態にならないよう、大学進学のサポートを受けるためのさまざまな選択肢があるので紹介します。

教育ローンを検討する

入学前にまとまったお金が用意できない場合、教育ローンの利用を視野に入れてもいいかもしれません。

教育ローンは、入学金や授業料、学費の支払いに充てるために提供されるローンで、国や金融機関が提供するものがあります。

教育ローンのメリットは、奨学金とは異なり入学前に必要な費用に充てられる点です。

ただし、返済条件や利率は各機関で異なるため、しっかりと比較検討して自分の家庭に合ったローンを選ぶ必要があるでしょう。

入学後は奨学金を利用する

大学入学後に利用できる奨学金も、有効な資金援助の手段です。

奨学金が受け取れるのは入学後なので、入学金には充てられませんが、子どもの生活費として利用するケースが多いでしょう。

奨学金の平均的な返済額は、月に約1万6000円とされています。奨学金には、給付型と貸与型の2種類があり、このうち貸与型は将来返済する必要があるものです。

学生や親にとっては非常にありがたい奨学金制度ですが、返済期間が20年に及ぶケースもあり「完済できるだろうか…」と不安を抱える人は少なくありません。

そのため、奨学金の利用を検討する際には、返済計画をしっかりと立てて、将来の家計負担を見据えた選択が必要です。

奨学金の返済については、こちらのコラムで詳しく解説しているので参考にしてみてください。

家庭の状況によって受けられる支援を活用する

各家庭の経済状況に応じて、国や地方自治体から提供される支援制度もあります。

たとえば、ひとり親向けの「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」や、低所得家庭向けの授業料減免や給付型奨学金、その他の補助金制度が存在します。

これらの支援は、大学側や地方自治体が提供する場合もあるため、進学を考えている大学の窓口へ相談するか、各地方自治体のウェブサイトをチェックしてみましょう。

子どもの大学入学前に必要な費用を理解しておこう

大学進学には、入学金や授業料、生活費など多くの費用がかかります。
教育資金の貯蓄が難しい場合は、教育ローンや奨学金の活用、家庭の状況に応じた支援制度を視野にいれてみてください。

子どもの将来を支えるために、必要な費用をしっかりと理解し、計画的に準備を進めていきましょう。

ライター
ドーミーラボ編集部

「夢中になれる学生生活」を探求するウエブマガジンです。進学や進路のあり方、充実した学生生活をおくるために実践できる知恵やヒントを発信していきます。