プロに聞く!入学前に気をつけたい奨学金に関するアレコレ
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ほとんどの学生が何らかの奨学金を借りている?驚きの日本の奨学金事情
奨学金という形ではありますが、お金を借りていることに変わりはありません。返済や利率に関して不安に感じることも多々ありますよね。実際のところ、現代の大学生はどれくらいの割合で奨学金を借りているのでしょうか?
久米さん:日本は、昔に比べて学費が圧倒的に高くなっているのが現状です。国公立はもちろん、特に顕著なのが私立大学。授業料に加えて施設代がかかるなど、私達が学生だった頃とは比べ物にならなに金額になっています。その一方で、家庭の収入自体はさほど上がっていないため、奨学金を借りざるを得ない経済状況の家庭が増えているのでしょう。実際に、大学生のおよそ2人に1人(約50%)が何らかの形で奨学金を利用しているという現状があります。
奨学金にも様々なものがありますが、その中でも日本の奨学金事業規模の約9割を占めているのが日本学生支援機構の奨学金。今回、久米さんには多くの学生が利用しているこの奨学金について詳しく解説してもらいます。
入学後じゃ遅い?奨学金を借り入れのタイミングと注意すべきポイント
多くの学生が奨学金を借りている中、返済時のトラブルや滞納といった問題が跡を絶ちません。借りた後のトラブルを避けるためにも、申し込みの時点で知っておきたい大切なポイントがあるようです。
久米さん:日本学生支援機構が設立して以降、大半の学生が高校在学中に奨学金を申し込んでいる現状があり、申込みの窓口は高校の先生が担当しています。日本の先生は非常に真面目なので、期日までに書類を集めるために何度もアナウンスはしているはずですが、それを生徒本人が自分ごととして捉えているかどうかが大きな問題です。「先生に持ってくるように言われた」という認識だけで、リスクを理解しないうちに何となく申し込んでしまっているご家庭も少なくはありません。その他、お子さんが資料を持ち帰らずに奨学金の申請ができない、遅れるという問題もありますよね。
例年、奨学金の案内書は高校3年生の春に届きます。志望校を選ぶのと同じ感覚で、親子で一緒に読み込んで当事者意識を持つことが、将来のリスク軽減に繋がるようです。
久米さん:申請時は高校の先生、在学期間中は大学の学生課と、卒業するまでは他人が窓口となってくれますが、卒業と同時に本人と学生支援機構の直接のやりとりがいきなり始まります。本人が理解しておらず、滞納してしまえば3ヶ月でブラックリスト入り、9ヶ月目から裁判に移行と、淡々と手続きが進んでいくことになるのです。そのため、進学前からご家庭で「奨学金を借りるとはどういうことなのか」を真剣に話し合うべきだと思いますね。
奨学金に関する問題が発生するのは、ほとんどが卒業した後。これも、奨学金を借りる本人に当事者意識があるかどうかが大切なようですね。
〇〇は奨学金で賄えない!?意外な落とし穴に注意!
高校卒業前に奨学金の審査が通って、親御さんは一安心。しかし、奨学金の給付時期を勘違いして入学前に困ってしまうご家庭が意外にも多いのだとか。
久米さん:実際に奨学金の支給が始まるのは大学に入学した後、早くても5~6月が目安になります。そのため、入学金や最初の授業料といった大きなお金を支払う際には、奨学金が使えないのです。そのため、入学時にかかるまとまった金額は貯蓄でまかなうか、教育ローンなどで対処することを考えなくてはなりません。国の教育ローンは、母子家庭・父子家庭といった厳しい家庭環境の方々に対する優遇措置もありますので、奨学金支給までの“繋ぎ”のようなイメージで計画的に利用することを検討してみてください。
その他、今年度から始まった新制度に関して、注意しなくてはならない情報があると久米さんが教えてくれました。
久米さん:給付型の奨学金は、親の収入により3つの区分に分けられています。第Ⅰ区分は住民税非課税世帯(*年収約270万円以下)第Ⅱ区分(*年収約300万円以下)第Ⅲ区分(*約380万円以下)と分けられるのですが、区分によって給付額が変わってきます。しかし、今年度からの新制度では、親の収入に加え子どもの収入(アルバイトの給料)の区分に影響してくる可能性があるのです。アルバイトを頑張ってしまったばっかりに、第Ⅰ区分だった人が第Ⅱ区分となり、給付金額が少なくなってしまう可能性もあります。子どもの収入がどの程度影響してくるかの正式発表はされていませんが、このような新制度があることは知っておき、今後の動向を注視していかないとなりませんね。
※4人家族で両親のうち片方が無収入のケース
どれくらい借りればいいの?プロが教える奨学金の借り入れ目安
奨学金にも借りられる上限金額があります。「上限いっぱいまで借りるべき」「少し足りないくらい借りてバイトを増やすべき」など、様々な意見がある中で、久米さんは1年目の借入金額が重要だと教えてくれました。
久米さん:奨学金とはいえ、借金に変わりありませんので極力借りる金額を減らしたいのが本音ですよね。しかし、1年目に関してはある程度余裕を持った金額を借りた方が良いんです。それは、大学生活の基本スタイルがまだ分かっていないから。「これくらいで足りるだろうと」思って借りて、足りなくなってしまいアルバイトを増やす。そして勉強が疎かになってしまっては本末転倒です。1年大学生活を送れば、2年目からどれくらいの額が必要かは大体わかってくるはず。そのタイミングで、適正な金額に減らして借りればいいのです。
奨学金を過度に恐れない!正しく理解し、賢く使って素敵な学生生活を!
今回の取材で印象的だったのが、「日本学生支援機構の貸与型奨学金は世界的にも優しいシステム」という久米さんの言葉でした。
久米さん:奨学金に怖いイメージを抱かれている方も多いですが、実は日本学生支援機構の奨学金は世界を見渡しても例がないくらい、優しい学生ローンなんです。利子の上限そのものが3%ですし、2020年3月の最新の見直し利率では0.002%と実質無利子に近いほど。そして、在学中は利息が発生しないのも大きなポイントですね。利息が発生するのは卒業後からですので、少なくとも在学中は利息の心配をする必要がありません。
仕組みを聞いてみると、意外にも学生に優しいシステムだった日本学生支援機構の奨学金制度。もちろん、無計画な利用はいけませんが、賢く使えば家庭の大きな助けになってくれるシステムです。進学の際は家庭の収入状況に応じて、奨学金利用を話し合ってみてはいかがでしょうか?
お話をお伺いした方: 奨学金アドバイザー・久米忠史 ( くめただし)さん
株式会社まなびシード 代表取締役 2005年頃から沖縄県の高校で始めた保護者・高校生向けの奨学金ガイダンスが「わかりやすい」との評判を呼び、現在では高校だけでなく全国各地で開催される進学相談会や大学のオープンキャンパスなどで毎年150回以上の講演を行う。2009年には進学費用対策ホームページ「奨学金なるほど!相談所」を開設。
【著書】
『奨学金まるわかり読本2020』(合同出版/2020年)
『薬学生のための奨学金まるわかりガイドブック』※監修(ユニヴ/2018年)
『借りる?借りない?奨学金見極めガイド 最新版』(合同出版社/2018年)
『借りる?借りない?奨学金見極めガイド』(合同出版社/2015年)
『子どもを大学に行かせるお金の話』(主婦の友社/2012年)
【連載】
インターネット大手情報サイトAll About(オールアバウト)『大学生の奨学金』
薬学部生のためのファーネットマガジン『薬剤師と奨学金』
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