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【緊急特集】奨学金のプロが伝える「最新の奨学金の仕組み・ポイント・注意点」(前編)

更新日 2022.07.01
【緊急特集】奨学金のプロが伝える「最新の奨学金の仕組み・ポイント・注意点」(前編)
2020年は世界中が新型コロナウィルスで一変しました。そして進学事情も大きく変わろうとしています。進学費用に不安を抱える家庭の増加が心配される今だから知っておきたい「奨学金のこと」。奨学金アドバイザー久米さんが、、親子だけでなく祖父母にも知ってもらいたい「最新の奨学金の仕組み」を解説します。

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この記事は連載特集です。前回の記事はこちら
奨学金のプロが伝える「激変する進学事情」

前回の記事では、進学率、就職率、学費の変遷をもとに、様変わりした高校生の進学事情を解説しました。 

今回は、奨学金の利用にあたって、奨学金の仕組みをわかりやすく解説したいと思います。 

8割以上が返済不要である大学独自の奨学金

奨学金は、返済が必要な「貸与型」と返済不要の「給付型」に大きく分けられます。さらに、医療・介護・保育系統の進路であれば、在学中に奨学金の貸与を受け、卒業後に一定期間勤務することで返済が免除される「お礼奉公型」の奨学金もあります。

奨学金制度の実施主体は、国や地方自治体、民間企業などさまざまですが、注目すべきは大学が独自に設ける奨学金です。

多くの大学では在学生や受験生支援を目的に独自に奨学金制度を設けていますが、その86.6%が給付型です。しかも、独自奨学金を設ける大学は年々増えています。

採用条件は、大学ごとにさまざまですが、新型コロナによる在学生への緊急制度を設ける大学もあるので、既に厳しい状況に置かれているならば、在籍大学に直ぐに確認してください。

来年以降の入学を予定している受験生とその保護者に知ってもらいたいのが「予約型奨学金」です。

「予約型奨学金」導入の動きが広がる

予約型奨学金は、入学前に奨学金の採用可否が決まる仕組みで、2009年に早稲田大学が創設した「めざせ!都の西北奨学金」が先駆けです。

現在では、慶応大、明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大、関西大、関西学院大、立命館大など有名大学の多くが予約型奨学金を設けていますが、その他の大学でも同様の経済支援制度を導入する動きが広がっています。

予約型奨学金に採用されると、進学後の経済支援が保証されるので安心して進学費用計画を立てることができます。

採用条件や支援方法は大学ごとにさまざまなので、志望校だけでなく、目指す学部系統の他大学の独自奨学金について積極的に調べてほしいと思います。

奨学金ではありませんが、選択肢として検討価値があるのが学費の安い「夜間部」への進学です。経済的に厳しくても意欲の高い学生の学びを支援する制度です。授業は夕方から行われるので、昼間はアルバイトするなどして自力進学も可能です。

残念ながら、2009年に105大学あった夜間部が2019年には64大学と大幅に減少しています。しかし今なお夜間部を維持する大学があり、たとえば複数学部で日本最大規模の夜間部をもつ東洋大のイブニングコースの学費は国立大学と同額です。

コロナ渦で先行きが不透明ないまこそ、受験生や親だけでなく高校教員の方々にも、夜間部に再び目を向けてほしいと願っています。

国の奨学金は貸与型が中心

最後に、国が行っている奨学金について簡単にふれたいと思います。

現在最も多くの人が利用しているのが「日本学生支援機構奨学金」です。

保護者・祖父母世代には奨学金と言うと「日本育英会」が馴染み深いはずです。日本学生支援機構は日本育英会から国の奨学金事業を受け継ぎ、2004年に設立された文部科学省所管の独立行政法人です。

また、保護者・祖父母世代にとっての奨学金とは「優秀な学生のための特別な制度」というイメージが強いのではないでしょうか。たしかに日本育英会時代の奨学金には、そのような側面がありました。しかし、日本学生支援機構になってからは、希望者全員に奨学金を支給しようと180度方向転換しています。

実際の数字を見ると、年間の利用者数は約127万人にも上り、その事業予算規模は1兆円に迫ります。現在の大学・短大生の利用割合は36.5%となり、実に2.7人に1人が日本学生支援機構奨学金を利用しています(2019年度)。

さきに、奨学金には貸与型と給付型があるとふれましたが、日本学生支援機構の奨学金は貸与型が中心だと理解してください。そのほか、日本育英会時代には、教員になれば返済免除となる特典などがありましたが、現在ではそれらの優遇制度は全て廃止されています。

奨学金の契約者は学生本人です。したがって、貸与型奨学金は子どもが背負う実質学生ローンといえます。ただし、実質的には学生ローンでありながらも、日本学生支援機構の貸与型奨学金には一般のローンと比べてメリットもいくつかあります。

昨今、奨学金の返済負担が社会問題として取り上げられるケースが増えています。それらの報道で言及されることはありませんが、返済負担問題の要因には、制度の無理解、資金計画を含めた進路選択のミスマッチが影響しているケースが多いように感じています。

したがって、貸与型奨学金を利用するならば、目先の金額に目を奪われるのではなく、奨学金のメリットとリスク、そしてリスク対策も含めて親子で情報共有することが大切です。

次回は、奨学金の利用にあたっての具体的なポイントと注意点などについて、わかりやすく解説したいと思います。 

奨学金について詳しく知りたい方はこちらもおすすめ。是非、ご覧ください!


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ライター
久米 忠史(奨学金アドバイザー)

奨学金アドバイザー・久米忠史 (くめ ただし)

株式会社まなびシード 代表取締役 2005年頃から沖縄県の高校で始めた保護者・高校生向けの奨学金ガイダンスが「わかりやすい」との評判を呼び、現在では高校だけでなく全国各地で開催される進学相談会や大学のオープンキャンパスなどで毎年150回以上の講演を行う。2009年には進学費用対策ホームページ「奨学金なるほど!相談所」を開設。

【著書】
『奨学金完全活用ガイド2022』(合同出版/2022年)
『奨学金まるわかり読本2020』(合同出版/2020年)
『薬学生のための奨学金まるわかりガイドブック』※監修(ユニヴ/2018年)
『借りる?借りない?奨学金見極めガイド 最新版』(合同出版社/2018年)
『借りる?借りない?奨学金見極めガイド』(合同出版社/2015年)
『子どもを大学に行かせるお金の話』(主婦の友社/2012年)