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不安を乗り越えて出会えた、夢と新しい目標

更新日 2021.12.08
不安を乗り越えて出会えた、夢と新しい目標
宮城県仙台市にあるドーミーで暮らす奈那さんは、今年の春に卒業を迎えます。彼女はどんな学生生活を送ってきたのでしょうか。友達のこと、これからの夢、思い出など、これまでの生活を振り返りながら話してもらいました。

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 今年の春に大学を卒業し、社会人としての第一歩を踏み出す奈那さん。
「いまは卒論や卒業旅行の計画とか、いろいろやることがあって忙しく過ごしています。卒業旅行は海外に行きたいね、と友達と話しているんですよ」
 現在は、残り少ない学生生活を楽しんでいる奈那さんですが、これから始まる新生活への意気込みを聞いてみると――。「正直なところ、今は“ちゃんとした社会人になれるのだろうか”と、期待より不安のほうが大きい気がします(笑)」
 こう話す奈那さんは、実家から遠く離れたこの大学に入った当初も、いろいろな心配や不安を抱えていたといいます。 「あの頃は大学や新生活にちゃんと馴染めるか、不安な気持ちでいっぱいでした。でも、心配や不安を取り除いてくれたのが、友達だったんです」

不安から楽しさに変わった

 その後の奈那さんの支えにもなった友達とは、学生生活がスタートしてまもなく、ドーミーで出会いました。
「大学も同じだったので、その5人とはすぐに仲良くなり、食堂や共有スペースなどでよく一緒に過ごしていました。ドーミーに帰って食堂をのぞくと、誰かいるというのは安心感がありましたね。たびたび夜遅くまで話し込んでしまい、寮母さんに怒られたのも今では良い思い出です」

友達と乗り越えた大震災

 奈那さんがドーミーで過ごしてきたなかで一番印象に残っている出来事は、2011年3月11日に発生した東日本大震災です。大学2年生になる前の春休みでした。

「地震が起きたときは、近くの体育館へ避難しました。すぐにマネージャーさんや寮母さんが食事や毛布などを持ってきてくれました。そして、次の日にはドーミーに戻ることができました」
 奈那さんが住んでいるドーミーは、仙台市内でも比較的早く電気と水道が復旧しましたが、食料の調達が困難な状況は続きました。そこで、全国のドーミーの協力のもと、食事を絶やすことなく提供する取り組みが最優先で行われました。
「地震から2日後には、いつも通りの食事がでていました。おかげで生活の不安はありませんでした」

そばに友達がいる、心強さ

 地震からしばらく経ってもなお余震が続きました。またいつ大きな揺れが来るかわからない。この恐怖がひとりで部屋にいた奈那さんを襲いました。
「すると、マネージャーさんが食堂や空き部屋を解放してくれたんです。私はずっとみんなと一緒に過ごしました」
 このとき奈那さんが一緒の部屋で過ごしたのは5人の友達。仲が良かったとはいえ、震災前はお互いに部活や勉強などで忙しく、なかなかゆっくり会って話す時間が持てなかったそうです。
「24時間ほぼ一緒にいましたね。とにかくいろんな話をしました。みんなで布団を並べて寝たり、日中は食料調達にでかけたり。改めて友達が側にいてくれることの心強さを感じました。あの大変な時に友達と過ごした時間は、今でも大切な思い出になっています」

いつもの食事が助けてくれた

「食事の心配をしなくて良いというのは、とても大きいことです」と語る奈那さん。毎日ちゃんとした食事ができる、これは公務員試験の勉強で忙しく過ごしていた時、特に感じたそうです。

「おかげで体調を崩すことなく、試験に挑むことができました。勉強に集中したいときに自炊もしなければならないのは、大きな負担だったと思います。きっと食事がおろそかになっていたのではないでしょうか」
 また、いつも気にかけてくれていたマネージャー夫妻、配膳のときに声をかけてくれる食堂のスタッフの存在も、大きな安心につながっていたそうです。

「学生時代を楽しむためには、食事面がしっかりし、そして安心して暮らせる場所が必要だと、親はきっと考えていたと思います。それでここを勧めてくれた。離れていても、いつも私のことを想ってくれる親には本当に感謝しています。たまに遊びに来ますが、私の生活については特に心配はないようです」

離れてみると分かること

「いま振り返ると、大学生活が始まってまもない頃、震災のとき、試験勉強で忙しかった頃などは、不安や落ち着かない気持ちを抱えていました。でも、ドーミーでの生活は安心感がありました。その気持ちって、いつも生活していると気づかないんですけどね。それは、どこか実家のような、離れてみるとそのありがたさに気づく、そんな感覚に近い場所でした」

 学生生活を過ごしたこの場所もあとわずか。これから新たな生活が始まりますが――。
 「就職活動中はいろいろ悩んだ時期もありましたが、結果的に自分が決めた道に進むことができました。これからは自分の親のように仕事を頑張っていきたい。そして、いつか結婚して母となり、すてきな家庭を築きたいという夢もあります。今は、住み慣れた場所を離れる不安や寂しさのほうが大きいですが、学生生活での経験や自信を糧にして、社会人として頑張っていきたいと思います」と強く夢を語ってくれました。


[ お母様へのインタビュー ] 親御さんは、離れて暮らす奈那さんをどんな思いで見守っていたのでしょうか。

 娘がひとり遠いところで暮らすことは、親としてはとても不安で、心配でした。でも、ここはセキュリティや食事面、マネージャーさんや寮母さんによるケアがしっかりしていたので、離れていても安心して過ごせました。特に食事は素晴らしいですね。春から娘は実家に戻ってきますが、ドーミーの食事に慣れた娘を満足させられるかしら、と不安です(笑)。
 震災のときは最初電話も通じず、不安のまま1日を過ごしていました。次の日にドーミーと連絡がとれ、寮母さんがいまの状況や娘の様子などを細かく教えてくれました。とても丁寧に対応してくださったので、心からホッとしたのを覚えています。娘の学生生活をしっかりサポートしてくれたドーミーには本当に感謝しています。
 これから社会人となり、いろいろ不安もあるでしょうけど、娘には「とにかくやってみなさい」と言ってあげたい。これから出会ういろんな人たちの話を聞き、後悔のないように歩んでもらいたいですね。

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※この記事は、2015年2月発行『BASE』vol.1の記事を転載・再編集したものです。

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ライター
『BASE』編集部

"HAVE A BASE"をテーマに、学生寮・学生会館を運営する共立メンテナンスの特任チームが編集・発行する不定期フリーマガジンです。大学や専門学校への進学、留学、就職や起業など、これまでに経験したことのない世界に飛び込もうとする方に役立つヒントを詰め込んでいます。