Z世代のお金と投資事情!大学生が投資を始めるメリット・デメリットとは。
近年は制度の後押しもあり、若いうちから少額で投資を始めることが可能になっています。令和4年4月には成年年齢が20歳から18歳に引き下げられ、高校の家庭科授業においては金融庁の新たな指導要領に基づいた金融・投資に関する教育もスタートしました。
大学生から投資を始めることには様々なメリットがありますが、正しい知識を身に着けて注意して取り組んでいく必要があります。
今回の記事では、Z世代のお金や投資に関する意識から、大学生から投資を始めるメリット、投資の始め方や注意点まで解説していきたいと思います。
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目次
Z世代のお金・投資に関する意識
まずはZ世代のお金や投資に関する意識についてみてみましょう。Z世代は明確な定義はありませんが、1990年代後半から2010年前後に生まれた世代を指し、2022年現在で10代〜大学生世代の方が該当します。
今回は、株式会社SHIBUYA109エンタテイメントが運営する若者マーケティング研究機関『SHIBUYA109 lab.』が行った「Z世代のお金と投資に関する意識調査」のデータをかいつまんでご紹介します。
Z世代は「お金の知識」の必要性を強く感じている
同調査の「現代社会を生き抜くための能力や知識としてあなたが必要だと思うものを教えてください」という質問では、「お金に関する知識」が73.0%と、他の項目を大きく抜いて最多の回答となりました。いかにZ世代のお金への関心が高まっているかがみてとれるデータです。
その背景には、Z世代は常に不安定な社会を生き抜いてきたという実態があり、貯金額の動向をみても、何が起こるかわからない遠い将来より、1~2年後の近い未来を安定して過ごしたいという傾向が伺えます。
金融資産に関する理解度はまだまだ不十分
お金に対する意識が高まる一方で、金融商品に関する理解度は不十分なようです。「理解している」という項目でみると、「預金」に次ぐ第2位は「特になし」で、預金以外の金融商品については認知度、理解度で倍以上の差が広がってしまっているのが実態です。
投資に興味あるZ世代は半数超。一方実際に投資している層は全体の約1割。
投資に関する意識や実態についても、実際に投資をしていると回答したのは全体の約1割にとどまりました。
「興味はある・必要だと感じる」と回答した人が半数を超えていますが、知識のなさや投資のリスクから実際に投資を行うことを懸念している傾向がみられました。
投資についての理想的な学び方について聞いた質問では、「学校で学びたい」という声が7割を超える結果となり、学生が安心して学べる場、情報環境の整備がますます求められています。
大学生から投資を始めるメリット
興味はある、必要性はあると感じても、なかなか踏み出せない大学生からの投資。大学生という早い時期から投資を始めることには様々なメリットがあります。
長期投資で資産形成できる
投資における重要な考え方のひとつに「長期投資」というものがあります。
長期にわたって積立投資をおこなえば、積み上げた利子に対してさらに利子が発生する「複利効果」の恩恵を受けることができるのです。当然ながら元本の変動はありますが、短期的なトレードと比較して安定的な投資成果を得ることが可能です。
スタートは少額でも大学生から積立投資を始めていくことで、将来的にまとまった資産形成をおこなっていけるでしょう。
就職活動で有利にはたらく可能性がある
投資をおこなうにあたっては、投資先の候補企業を十分にリサーチする必要がありますが、そこで得た情報は就職活動に必要な企業研究につながります。
企業情報にとどまらず、あわせて社会や政治、経済情勢も追っていくことになるので。そこで得た情報や知識は面接や試験にも活用できるでしょう。
投資を始めるとこれらのトピックに日々関心を持てるようになるので、就活に必要な情報に自然にアンテナをたてられるといっても過言ではありません。
金融リテラシーが身につく
投資をとおしてお金や経済の仕組みを理解できるようになることで、将来設計に役立ちます。知識にくわえ資金ができることで、自分の理想にむけてどのような人生プランが必要かを考え、選択肢を増やしていくことも可能になります。
また最近は高齢者だけでなく若者を狙ったマルチ商法などの金融詐欺が横行しています。投資の仕組みを理解していれば、こういった詐欺から自分や周りの身を守ることに繋がるでしょう。
アルバイト以外の収入を得られる
投資はアルバイトと違いますので、今すぐに必要なお金を稼ぐというのは難しいですが、学業の合間に将来に向けた資産形成をこつこつと行うことができます。
アルバイト代は学費や趣味などにすぐ使ってしまって貯蓄に回せないということが多いと思いますが、投資なら若くして貯蓄をはじめていくことが可能です。余裕資金が増えていけばアルバイトを削って自分時間を増やせますし、将来的な収入の柱にもなる可能性もあるでしょう。
投資を通じて若者ならではの価値観を見いだせる
昨今はSDGs、ESGといったトピックへの関心が世間的に高まっています。投資も例にもれず、それらの考えかたを反映した投資商品が拡大しているのです。また近年はクラウドファンディングなども普及しています。
投資=お金儲けというイメージが強いかもしれませんが、投資活動の中に社会貢献という意義を見出すことができるのです。若者ならではの価値観で投資に関わることはとても意義の高いことでしょう。
大学生の投資の始め方
ここからは、実際どのように投資を始めていけばよいか、について解説していきます。
投資の基礎知識を身につける
まずは前提として、投資に関する知識をしっかりと身につけましょう。金融商品には様々な種類・特性があり、リスクがあります。基礎知識について十分に勉強したうえで、自分の投資目的にはどのような商品が適しているのかを慎重に考えましょう。
大学で関連する講義を受講したり、本を買って勉強するのがおすすめです。
投資資金を準備する
知識を身につけたら、投資資金の準備です。投資というと何十万、何百万の高額をイメージされる方もいるかもしれませんが、先にも触れたように最近では100円からの少額でも投資を始めることが可能です。また関連サービスの利用で貯まったポイントを活用して、0円で投資することもできます。無理のない範囲で資金の準備を行いましょう。
証券会社で口座を開設する
資金の用意ができたら口座開設です。
従来、未成年が口座を開設する場合、親権者の同意等、手続きが煩雑で、対応する証券会社も限られていました。しかし2022年4月に成人年齢が引き下げられたことで、18歳以上であれば保護者の同意なしで口座開設が可能になりました。
証券会社を選ぶ際は、ネット証券がおすすめです。対面型の証券会社は顧客ごとに担当者をつけてくれますが、主に富裕層をメインに対応しており、手数料も割高です。
ネット証券であればスマホ一台で気軽に始められることができ、手数料も比較的に安くなっています。
また昨今は証券だけでなく、カードやスマホ等関連サービスを一緒に利用することでお得になるようなサービスも増えています。比較サイトが多数あるので、十分に検討したうえで選んでみてください。
口座に入金し取引をスタートする
口座開設し入金を済ませたら、いよいよ取引スタートです。
関心のある企業の銘柄や商品を吟味して、学習を継続しながら資産運用を始めていきましょう。
大学生におすすめしたい投資制度
こちらでは、大学生に活用をおすすめしたい投資制度を2つご紹介します。
NISA
NISAは少額投資非課税制度と呼ばれ、非課税口座(NISA口座)において毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品の利益が非課税になる制度です。
一般に株式・投資信託などの金融商品を購入・売却した場合、利益や配当に対して約20%の税金がかかります。これらの税金がかからなくなるのです。
大学生が利用できるNISAは、成年利用が可能な一般NISA、つみたてNISAの2種類にわかれます。
- 一般NISA:株式・投資信託等を年間120万円まで購入でき、最大5年間非課税で保有可能
- つみたてNISA:一定の投資信託を年間40万円まで購入でき、最大20年間非課税で保有可能
なお、一般NISAについては2024年以降から制度内容が見直される予定です。詳しくは金融庁HPを参照ください。
▼参考:金融庁|NISAとは?
iDeCo
iDeCo(個人型確定拠出年金)は国民年金基金連合会が運営する、私的年金制度のことです。掛金を拠出し運用方法を選んで、将来的に掛金とその運用益との合計額を老齢給付金として受け取ることができます。
利益が非課税となるほか、掛け金は全額所得控除の扱いとなるため、ダブルで節税効果があります。
原則60歳以降にならないと引き出しができない点には注意が必要ですが、早期から老後の資金を蓄えていきたい方、貯蓄が不得意な方にもおすすめの制度となっています。
▼参考:iDeCo公式サイト
大学生が投資を行う際の注意点
最後に、大学生が投資をはじめていくにあたっての注意点について解説します。
学業が優先であると心得る
言うまでもありませんが、大学生の本分は学業です。
投資を始めると、日々の株価の値動きやニュースに気を取られますが、それが原因で学業に支障をきたすようでは本末転倒です。
試験期間中は投資をストップする、日々の値動きに気を取られないよう長期の積立投資にする、値動きのチェックは時間を決めて行うなど対策していきましょう。
投資はギャンブルではない
投資=ギャンブルというイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれません。
たしかにどちらも利益を予想して購入し、外れれば損失が発生する可能性がある点においては同じです。しかしながら投資活動というものは、「投資先の会社を応援する」「投資を通じて社会貢献につなげる」など様々な意義があります。
ギャンブル感覚で利益のみに着目して投資を行っていると、予想外の損失を被り最作多額の負債・借金を抱えてしまう可能性もあります。
投資はギャンブル・遊びではありません。
大学生で投資を始める意味・目的を十分に考えた上ではじめてみてください。
まとめ
いかがだったでしょうか?
本記事では、現代の若者の投資に対する考え方から、大学生で投資を始めるメリット、始め方、注意点まで解説してきました。
投資はリスクがつきものですが、大学生で投資にチャレンジすることは、お金以外にも様々な恩恵をもたらしてくれます。
「大学生で投資なんて・・・」と思われていた方もいらっしゃるかもしれませんが、本記事が投資に関する理解を深めるきっかけとなれば幸いです。