「就活は、入学したその日から始まる」学生就職支援のプロが語る、学生生活最初の一歩とは。
大学や専門学校で過ごす学生時代は、社会人としてこの先の長い人生を生きていくための、いわば最後の準備期間です。多くの学生さんにとっては、「就職活動」という大きなイベントも待っています。学生時代も楽しみながら、就職活動も無事に乗り切りたい。そのためには、何から始めておけば良いのでしょうか。
学生の就職・インターンシップの支援や人材紹介、アルバイト支援サービスを展開されている、ルーキーワークス株式会社の中川 高一(なかがわ たかひと)社長に、就活のプロから見た目線で、学生生活と就活に必要なことについてお話を伺いました。
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本当に必要な「コミュニケーション能力」とは。
日々、学生さんの就活を支援する中で、やはり一番求められているのは、「コミュニケーション能力」だと感じます。
「コミュニケーション能力」は、上手く話が出来たり、プレゼンが出来たりすること、のようなイメージを持たれがちですが、実際はそうではないと思っています。
今の学生さんはSNSに親しんでいたり、大学の授業等でも機会が多いことから、割と「プレゼンすること」自体には慣れている方だとは思いますが、相手の意思を汲み取ったり、話の内容に込められた意図や想いを推測したり、あるいはそれを行動に反映する力を持ち合わせている方は少ないと感じています。
例えとしては良くないですが、「煙草が吸いたい」って言われて、「煙草だけ」を相手に渡そうとする。ライターと灰皿も要るかな、ということを考えないまま来ちゃう感じといいますか。
ひと言「ライターはお持ちですか」と聞くとか、灰皿も一緒に持ってくる、といったことを考えながら、あるいは確認しながら動けると、相手の反応はまったく変わってきます。
相手の意思を汲み取ったり、話の内容に込められた意図や想いを推測したりしながら、対話や行動に反映していけることが「コミュニケーション能力」だと思います。
現代では、大きく差別化された商品でない限りは、「人」の部分がより重要になっていて、昔よりも「コミュニケーション能力」が求められていると感じます。考え、行動に移すということがひとつ加わるだけで、結果は大きく変わってきます。
「コミュニケーション能力」は、やはり日々の生活や経験を通して鍛えられていくものだと思います。
就活が始まる時に慌てて準備しても、間に合いません。
就活では、マニュアル本などを読んで準備はしている学生はたくさん居ますが、想定される質問に対して、理想的な回答を「知識として」詰め込んでしまっていて、面接時なんかに、自分では良い流れで話せていると思っていても、途中で話が破綻してしまって、言うなれば「化けの皮が剥がれてしまう」なんてことも多いのです。
入学したその日から、就活は始まる。
大学は、自分で自分の過ごし方を決めながら、社会へ出る準備をする。
社会に出るまでの「試用期間」みたいなものです。
入学式って、その「試用期間」の初日なんですよね。
その日から、社会に出るためにどうするの?という意識を持つこと、
インターンや就活を身近なものとして考えられることが大事だと思っています。
ですので、ある意味「就活」は、大学に入学した時から始まっているんですよね。
なんだか意識高い系、みたいなことを言ってしまいましたが(笑)、
就職に向けた意識や準備というのは、入学直後から少しずつ始めていけば良い、と思っています。
最初の一歩目は、「仲間をつくる」こと。
なにも、すぐに目標を決めなければならないとか、自分を高めなければならない、ということではありません。大学という新しい環境で、まずは「行動してみる」ことが大事です。
とはいえ、何をすれば良いの?となるのですが、私は、「仲間をつくる」ことが良いのではないかと思います。
高校までは、クラスごとに同じ授業を一緒に受けますよね。授業も一緒、やることも一緒なので、価値観が寄りやすい。でも大学はまったく違います。様々な場所や国から、色々な価値観をもった学生が集まる場所です。時に、びっくりするような個性や人間性をもつ人もいます。
そのような環境で、能動的に仲間を作っていく、仲間を見つけに行くことに、まずチャレンジしてみてはどうでしょうか。
私の経験をお話しますと、私は大学時代に所属していたビジネス系のサークルで、ある旅行会社と出会い、何か一緒にできないか、という話になり、ツアー商品の企画・宣伝・販売を、メンバーと共に任せて貰うことになりました。ツアーの売上に関わる部分を担うことになったので、私たちには責任が伴いました。とにかく絶対に目標達成したい、任せてもらったことに応えたいという想いのもと、どのようにして達成するか、という計画を建て、試行錯誤しながらもメンバーと共に取り組みました。
実際に企画を推進する過程で、他のチームの社員の方、取引先の企業の方、そしてツアーのお客様など、様々な方々との接点ができました。学業以外に、社会との接点を沢山持つことができたことで、たくさんの刺激をもらいましたし、いろいろなことを学べました。何より自分自身が変われたと思います。
当時のサークルのメンバーたちも、皆それぞれに社会で活躍しています。彼らの存在は励みになりますし、負けてらんねぇな、と思います。今でも切磋琢磨ができる仲間の存在は、かけがえのない一生の財産です。
大学は、自分の世界が大きく広がる場所です。
せっかくの環境ですから、ぜひ楽しみながら足を踏み入れていってみてください。
<プロフィール>
中川 高一(なかがわ たかひと)さん
ルーキーワークス株式会社 代表取締役
1981年、東京都生まれ。求人情報サービス企業で営業職を務め、多くの功績を上げ、入社後1年9ヶ月のスピードで課長に就任。新規プロジェクトの責任者を務めた後、2013年に独立。「今後の将来を担う多くの若者(Rooky)が、やりがいを持てる仕事(Works)を見つけ、やりがいを持って取り組む事ができる社会を実現したい」との想いで、現在のルーキーワークス(株)を設立。
同社では主に大学生・専門学校生を対象に、アルバイト就業やインターンシップ支援、起業セミナーの運営など、就職活動を支援する事業を独自に展開している。
(文:酒井 新・Totty/取材:西 泰宏・尾田 裕明)
学生会館ドーミー×Rookyのアルバイト支援サービスとは?
学生会館ドーミーでは、ルーキーワークス株式会社と提携し、入居学生向けのアルバイト支援サービス(求人案内・サポート)を行っています。一般的なアルバイト紹介とは違い、 例えば 「将来の夢や目標を見据えた業種」、「コミュ力を鍛えられる業種」「word、excelが上達できる業種」「英語で接客ができる業種」などのように、 『将来につながる・より価値が残るアルバイト探し』をコンセプトに求人の紹介・マッチングサポートを行っています。(※2023年1月現在、首都圏エリアのみの提供)
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