自分でつくる、 自分のスタイル。｜卒業生インタビュー

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｜快適すぎた初めての東京暮らし

　最初からネガティブなこと言っちゃいますが、東京での暮らしは不安でした。私、大丈夫かな？ と、正直なところ思っていました。実は、高校までの教育を海外の国々や日本のアメリカンスクールで受けていたので、東京暮らしどころか、日本語での生活自体が初めてだったんです。慣れない暮らしを心配したのは母も同じ。母の勧めもあり、大学の専用寮から徐々に、日本にもひとり暮らしにも慣れていくことにしました。
　でも実際にスタートしてみると、良い大学生活を送ることができたんです。もちろん、それは遠くアメリカにいても、いつも電話で相談に乗ってくれる親や困ったときに頼れる寮のマネージャーの支えがあってこそ、ですが。

｜学生時代に見つけた将来像

　ある日、大学の勉強も落ち着いてきた頃です。寮のマネージャーからRA（レジデント・アシスタント）※にならないかと声をかけていただきました。RAは寮生の生活をより良くするために活動するコミュニティ・リーダーのようなものです。私の“なりたい自分の姿”は、“自ら考えて発信する自分”。当時、漠然とですがそう考えていました。勉強でもない、アルバイトでもないRAの仕事はまさにぴったりでした。さらに寮生たちのことを考えながらパーティーなどを企画しているうちに、将来像の輪郭が見えてきたんです。
※ RA（Resident Assistant/ レジデント・アシスタント）とは、学生寮内のコミュニケーションを活性化する学生リーダー。

｜もっと任される環境で働きたい

　いよいよ卒業。就職活動はしてみたものの、大企業でスーツを着て働く自分の姿が、どうしてもイメージできなかったんです。そこで、入社したのは、学生時代にアルバイトしていたベビーシッターのマッチングサービスを展開するベンチャー企業です。日本では新しい業界ですし、何より風通しがよい職場環境が魅力でした。スタッフが多くないので、一人がやらなければならない仕事は多岐にわたり、とにかく自分で考えて動くことを求められました。その分、個人の考えをよく聞き、受け入れる社風があり、自分の企画を実現しやすい環境でしたし、責任の重さも感じていました。ここでの濃厚な経験が、いまの自分の働き方の基礎を作ってくれました。

｜新しいワークスタイルへの挑戦

　現在、私は会社から独立し、個人でウェブ制作や翻訳などの仕事を手がけています。今チャレンジしているのは「世界を旅しながら仕事をしていく」というワークスタイル。特定の拠点を持たずに各地で滞在しながら仕事をするアドレスホッパーという新たなライフスタイルを実践されている方々と直接出会ったのがきっかけです。
　振り返れば、RA活動を通じて見つけた“なりたい自分の姿”、RAと会社で積み重ねた「自ら考えて動く」という経験が自信へとつながり、独立への思いを強くしました。独立にあたっては、親からも収入面や今後のキャリア形成の面などで大丈夫なのかと心配されました。でも、親も私が無茶や無謀なことをしないと信じてくれ、今では応援してくれています。

｜支えがあるからチャレンジできる

　若いうちって、やりたいことも、言うこともコロコロ変わるじゃないですか。でも、だからこそ、やりたいタイミングで大人に後押ししてもらえることが、大きな支えになると思います。
　今思い返すと、実はとても人に恵まれたと思います。いつでも立ち寄れて相談ができる寮のマネージャー、退職後も応援してくれる前職の上司や同僚など、家族以外にもたくさんの頼れる大人と出会えました。思い切った決断ができたのは、たくさんの人が作ってくれた「安心できる場所」がある、という気持ちの支えだと思います。
　安心できる場所があったからこそ見つけられた将来像と、積み重ねた濃厚な経験が私にはある。もちろん不安もありますが、自由で、かつ責任感を持てる、私なりのライフスタイルをこれから築いていきたいと思います。

※この記事は、2019年7月発行『BASE』vol.4の記事を転載したものです。