高校生の進路希望調査はどう書けばいい?進路を選ぶ基準と例文、保護者記入欄の書き方も
しかしいざ書こうとすると「どのように記入すれば良いの?」「一度書いたら変更はできないの?」と、悩む方は多いかもしれません。
また、進路希望調査には保護者記入欄が設けられることも多く、親御さんも何を書くのが適切なのか、不明点が盛りだくさんでしょう。
本コラムでは、進路希望調査の書き方を、実際に使える例文を交えながら分かりやすく解説します。
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高校における進路希望調査とは
高校における進路希望調査は、高校生が将来の進学や就職に向けて、どのような方向に進みたいのかを記入する書類です。
この調査を通じて、学校は生徒の希望を把握し、適切な進路指導をするための参考にします。また、進路希望調査には、保護者記入欄が設けられていることが多く、家庭と学校が連携し、子どもの進路をサポートするための重要なコミュニケーションツールとしても扱われます。
進路希望調査の時期は学校にもよりますが、高校2年生の終わり頃と高校3年生の春頃に実施されるところが多いでしょう。
進路希望調査の目的
進路希望調査の目的は、生徒が自身の希望する進学先や就職先を明確にし、学校がそれに沿ったサポートを提供することです。
調査結果に基づき、学校は適切な指導やカウンセリングを行い、必要な情報提供やアドバイスをします。
進路希望調査は、生徒に将来を具体的に考えさせる機会を与えるため、進路選択の第一歩ともなるでしょう。
進路希望調査に必要な記入項目
進路希望調査の記入項目は学校によって異なりますが、主に以下の内容が含まれます。
- 進学か就職、その他の希望
- 進学を希望する場合、志望する大学や学部、学科
- 就職を希望する場合、業界や職種
- 具体的な就職先
- 保護者記入欄
進学か就職かによって、記入する内容は大きく異なるでしょう。
多くの高校では、第1志望から第3志望までの選択肢を求められることが一般的です。また、将来の目標や興味のある分野、希望する理由も記入項目として含まれます。
保護者記入欄では、保護者の意見や希望が求められ、家庭内での進路についての考えを示す役割として機能するでしょう。
提出後の進路変更は可能
進路希望調査は、一度記入したら絶対に変更できないというものではありません。むしろ、進路希望が変わるのは自然なことです。
高校生活を通して、新たな興味や目標が見つかることもあり、進路に対する考え方が変わるのは決して珍しくないでしょう。そのため、進路希望調査は、現時点での希望を記すものであり、後から変更されることは想定の範囲内です。
多くの学校では、進路指導の過程で生徒が希望を変更できるような仕組みが整っており、進路希望調査の内容はあくまで進路指導の参考として使用されます。保護者や担任の先生としっかり相談しながら、自分の進路について見直す機会があるので、最初の希望に縛られすぎず、柔軟に考えることが大切です。
ただ、進路に関しては注意点があります。
中には、高校入学と同時に志望校をすでに絞っている方もいるでしょう。
早期から志望校を目指す姿勢は、非常に有利です。ですが、受験勉強の科目まで早期から絞りすぎてしまうと、後に志望校を変更した際に対応しづらいケースがあるので注意が必要です。
たとえば、私立と国公立、学部別によっても受験科目が異なります。そのため、最初から勉強する科目を絞り込まないほうがいいといえるでしょう。学習科目を絞るときは、志望校を明確にした段階にするとよさそうです。
進路選択に悩んだら何を基準に決めればいい?
高校卒業後の進路選択は、「進学」か「就職」という大きな分かれ道がありますが、まだ将来の方向性が決まっていない人は多いでしょう。
進路希望調査は、あくまで現時点での意向を示すものであり、必ずしも最終決定ではありません。しかし同時に、将来を考え始める良いきっかけにもなります。
進路選択に悩んだときは、焦らずに自分に合った選択を見つけるための指針を持つことが大切です。ここでは、進路を選ぶ際に軸となる4つの要素を紹介します。
自己分析から始めてみる
進路選択の第一歩として、まずは自分自身をよく知ることから始めましょう。
自分の興味や得意分野、価値観を見つめ直すことが、進路決定の大きな手助けとなります。
自分を知るために、以下のようなことを自分に問いかけてみましょう。
- これまでの経験の中で、自分が続けてきたこと、人よりもうまくできることは何か?
- 今後、自分がやってみたいと思うこと、情熱を持って取り組めることは何か?
- 高校生活の中で、自分が何に大きな価値を感じ、使命感を持って取り組んできたか?
自己分析をすることで、どのような分野で自分が力を発揮できるのか、どのような環境が自分に合っているのかを把握でき、進学先や職業選択の方向性が見えてくるでしょう。
興味のある仕事から逆算する
自分の興味のある仕事や業界から逆算して、進路を考えるのも一つの方法です。
たとえば、特定の職業に就きたいという目標がある場合、その仕事に必要な資格やスキル、学問が学べる進学先を選ぶことで、将来への道筋が明確になるでしょう。
インターネットやSNSを活用すれば、さまざまな職業の情報を調べられます。最近では、SNSで採用活動を実施している企業が増えているため、会社の雰囲気や先輩社員の声を見て判断してもいいかもしれません。
自分が本当に何に興味があるのかを、とことん調べてみましょう。
社会に関心を持つ
社会が今後どのように変わっていくのか、どんな職業やスキルが求められるのかを知ることで、自分の進むべき道が見えてくることもあるでしょう。
まずは、新聞やニュース、業界ごとのインタビュー記事などを通じて、社会の動きに目を向けて、社会に関心を持つことから始めてもいいでしょう。
先輩に相談してみる
「ネットで調べた情報だけでは物足りない」という場合は、進路を決めた経験を持つ先輩に相談してみるのがおすすめです。
実際の体験談は、ネットの情報よりも非常にリアル。進路選択における具体的なイメージが湧き、将来の選択肢に対する不安が軽減されるかもしれません。
自分の進路に悩んだときは、気軽に先輩や先生、家族に相談してみると、新しい視点やアドバイスが得られることもあります。
進路希望調査の書き方・例文
進路希望調査を実際に書くとなると、進路が明確であっても何をどう書けばいいのか悩んでしまいますよね。
特に「進学」か「就職」という大きな決断を記入する際には、具体的な理由や目標を明確にすることが求められます。ここでは、進学と就職を希望する場合の書き方と例文を紹するので、ぜひ参考にしてみてください。
進学を希望する場合
進学を希望する際は、自分が興味を持つ学問分野や目標、将来のビジョンをしっかりと書くことが重要です。
特に、推薦入試を希望する場合は、学校側への意思表示を早めに伝えておくことがポイントです。推薦入試では、志望理由や適性が重視されるため、具体的に何を学びたいか、将来どのように活かしたいかを明記しましょう。
<例文1>
「私は将来、医療の分野で活躍したいと考えています。特に看護師になりたいという目標があり、〇〇大学の看護学部で人々の健康を支えるための知識と技術を学びたいと思います。高校時代にボランティア活動を通じて、人の役に立ちたいという気持ちが強まりました。看護師として成長し、地域社会に貢献できる存在になりたいです。」
<例文2>
「私は、IT分野に興味があり、将来的にシステムエンジニアとして働きたいと考えています。〇〇大学の情報工学部では、プログラミングやデータ分析などの最新技術を学べるため、自分の目標に最適な環境だと思っています。学びを通して、社会の課題解決に貢献できる技術者になりたいです。」
志望理由は、できるだけ具体的に記入しましょう。自分がなぜその分野を学びたいのか、将来どのように活かしたいのかを明確にしておいてください。
就職を希望する場合
就職を希望する場合は、具体的にどの業界や職種に興味があるのか、そしてその理由を記入することが大切です。
また、どのようなスキルや経験を活かせるかをアピールすることで、学校側もサポートしやすくなります。自分の強みやこれまでに頑張ってきたことを整理し、就職活動に役立てましょう。
<例文1>
「私は高校卒業後、製造業界に進み、〇〇株式会社の工場で技術者として働きたいと考えています。手先が器用で、技術の習得に自信があり、これまでの工業系の授業で学んだ知識を実践で活かしたいです。安定した職業に就き、将来的には工場内でリーダーを目指して努力したいです。」
<例文2>
「私は接客業に興味があり、ホテルやテーマパークでサービス業に従事したいと考えています。人と接することが好きで、高校時代にアルバイトを通じて接客の楽しさを知りました。お客様に喜んでもらえるサービスを提供し、信頼されるスタッフとして成長したいです。」
具体的な就職希望先が決まっていなくても、自分の経験やスキルを社会でどう活かしたいのかを記入するといいでしょう。そのために、自己分析は徹底しておいてくださいね。
進路希望調査の保護者記入欄には何を書けばいい?
進路希望調査には、学校によって保護者記入欄が設けられていることがあります。
保護者の意見は、学校が進路指導をする上で重要な情報となるため、しっかりと記入することが大切です。
この欄では、子どもの進路に対する親の考えや不安、経済的な問題など、学校に知っておいてほしい内容を率直に記載しましょう。
保護者が学校に伝える内容
保護者記入欄には、次のような内容を記載すると良いでしょう。
- 不安に思っていることや聞きたいこと(例:進路に関する情報不足や、進路変更の相談など)
- 子どもの進路に関して悩んでいること(例:子どもが進学か就職かで迷っている場合や、適切な進路が見つからない場合)
- 卒業後のお金の問題(例:学費、奨学金、一人暮らしの費用など、経済的な準備に関する懸念)
保護者記入欄のポイントは、悩みや質問を正直に書くことです。保護者が進路に関して何を考えているかがわかれば、学校も適切なサポートを提供しやすくなります。
特に、経済的な問題や家庭内の進路相談状況については、学校に共有しておくことで支援を受けやすくなります。
また注意点になりますが、保護者記入欄は、必ず保護者が書きましょう。
保護者記入欄の例文
子どもの進路によって、親の不安や学校に聞きたいことは異なるでしょう。
保護者記入欄の例文として、以下を参考にしてみてください。
推薦希望の場合
「子どもは〇〇大学の推薦入試を希望しています。学校の成績や活動実績を生かして進学できればと思っておりますが、推薦に関してまだ不安な部分があり、何か助言があればぜひ伺いたいです。推薦入試の準備に必要なことがあれば、教えていただけると助かります。」
私立大学希望の場合
「子どもは私立大学を希望していますが、学費や奨学金についての情報がまだ十分でなく、どのような支援制度があるのか悩んでいます。学費の負担が気になるため、経済的な支援について学校のサポートがあると助かります。」
国公立大学希望の場合
「子どもは国公立大学を志望しておりますが、共通テストや二次試験の対策に不安を感じています。学校での指導を活用しつつ、家庭でもサポートをしたいと考えております。今後の模試の結果などを見ながら、より具体的な対策を相談できればと思います。」
専門学校希望の場合
「子どもは〇〇の専門学校への進学を希望しています。将来的には手に職をつけたいという強い意志があり、私たちとしても専門的な技術を学べることに賛成です。ただし、学費の準備や奨学金制度について具体的に把握できていないので、何かアドバイスがあれば助かります。」
就職希望の場合
「子どもは卒業後、就職を希望しています。現在、〇〇業界に興味を持っており、私たちとしてもその意志を尊重したいと考えています。就職活動に際して、履歴書や面接対策などで学校のサポートが必要になると思いますので、今後のご指導をよろしくお願いいたします。」
このように、保護者記入欄では子どもの希望や不安、経済的な懸念などを具体的に書きましょう。
特に、推薦を希望する場合は、早期に相談することをおすすめします。最近では、私立大学受験者の約半数が何らかの推薦制度を利用しており、少しでも有利な条件で受験をしたいと考える生徒が多いようです。
合格率の高い指定校推薦は非常に人気がありますが、そのために校内で推薦枠を巡る競争が起こることもあります。
こうした状況から、推薦入試を希望する場合は、できるだけ早めに担任の先生に意思を伝えておいてください。
また、子どもの進路をサポートするには、親なりに正しい知識を身につけておくことも重要です。
子どもが進学を選んだ場合、現代の大学入試制度は従来と同じではありません。保護者が進路に関する正しい情報を得ておかないと、子どもの将来を妨げてしまう可能性があるので注意が必要です。
具体的にどのような点に注意した方がいいのかは、こちらのコラムで詳しく紹介しているので、ぜひご覧くださいね。
進路希望調査は現段階の率直な意向を記入しよう
進路希望調査は、現時点での自分の考えや希望を正直に記入することが大切です。将来の進路はまだ定まっていない場合もありますが、それでも無理に最終決定を急ぐ必要はありません。
この調査はあくまで今の意向を示すものであり、進路を具体的に考え始める良いきっかけになるでしょう。
進学や就職について悩んでいる場合でも、率直に自分の気持ちや興味を記入することで、学校の先生や保護者から適切なアドバイスを受けられます。まずは、ありのままの自分の希望を伝えることが重要です。