専門学校と大学、あなたに合っているのはどっち?進路選択のヒント

「専門学校と大学、どちらが自分に合っているのだろう?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、専門学校と大学それぞれの特徴やメリット・デメリットを詳しく解説し、あなたに合った進路選択のヒントをお届けします!
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専門学校と大学の基本的な違い
まず、専門学校と大学の基本的な違いを理解しましょう。それぞれの特徴を知ることで、自分に合った進路が見えてくるはずです。
教育目的と学習スタイルの違い
専門学校は「職業教育」に特化した教育機関です。特定の職業や資格取得に直結したカリキュラムが組まれており、実践的な技術や知識を効率よく学ぶことができます。授業は実習や演習が中心で、現場で役立つスキルの習得を重視しています。
例えば、調理師専門学校では調理実習の時間が多く、IT系専門学校ではプログラミングの実践的な課題に取り組む時間が豊富に確保されています。
一方、大学は「学術研究」を基本とした教育機関です。専門分野の知識だけでなく、幅広い教養科目を通して総合的な思考力や判断力を養います。授業は講義形式が中心で、理論的な学びを深めることができます。
大学では、1〜2年次に一般教養科目を履修し、その後専門科目を学ぶというカリキュラムが一般的です。自分の興味に合わせて科目を選択できる自由度も特徴です。
取得できる学位・称号の違い
専門学校を卒業すると「専門士」(2年制以上)や「高度専門士」(4年制)の称号が与えられます。これらは国家資格ではありませんが、文部科学大臣が認定した称号です。
また、特定の資格取得を目指すコースでは、卒業と同時に受験資格が得られたり、在学中に資格取得のサポートを受けられたりします。
大学を卒業すると「学士」の学位が授与されます。学士は国際的にも認められた学位で、特定の職業や大学院進学などにおいて必要とされることがあります。大学院に進学すれば、さらに「修士」「博士」の学位を取得することも可能です。
在学期間と入学難易度の特徴
専門学校の標準的な修業年限は2年制または3年制が主流です。中には1年制の学科や4年制の高度専門士コースもあります。入学試験は比較的簡単な傾向にあり、書類選考や面接、基礎学力テストなどで選考される場合が多いです。
大学は基本的に4年制(医学部は6年制)です。入学難易度は大学や学部によって大きく異なりますが、一般的に国公立大学や難関私立大学では、センター試験(共通テスト)や一般入試などの学力試験による選考が行われます。総合型選抜(旧AO入試)や推薦入試など、多様な入試制度も設けられています。
専門学校は大学より短期間で卒業できることが多く、早く社会に出たい方には魅力的な選択肢です。一方、大学では4年間という時間をかけて幅広い学びや経験を積むことができます。
専門学校が向いている人の特徴
専門学校は、以下のような特徴や希望を持つ人に特に向いています。自分に当てはまるかどうか、チェックしてみましょう。
明確な職業目標がある人
「美容師になりたい」「調理師を目指している」「ITエンジニアとして働きたい」など、具体的な職業目標を持っている人には、専門学校がおすすめです。専門学校では、目指す職業に直結した知識やスキルを効率的に学ぶことができます。
例えば、美容師を目指すなら美容専門学校で美容師国家資格の取得に必要な技術を集中的に学び、医療事務を目指すなら医療事務の資格取得に特化したカリキュラムで学ぶことができます。「何になりたいか」が明確な人にとって、遠回りせず目標に直進できる環境が整っています。
実践的なスキルを早く身につけたい人
「とにかく実践的な技術を身につけたい」「現場で役立つスキルを習得したい」という方にも、専門学校は適しています。専門学校では、理論よりも実践を重視したカリキュラムが組まれているため、即戦力となるスキルを効率的に身につけることが可能です。
授業時間の多くが実習や演習に充てられ、実際の現場を想定した環境で学ぶことができます。例えば、調理師専門学校では本格的な厨房で調理実習を行い、IT系専門学校では企業の現場で使われているのと同じソフトウェアやツールを使って学習します。
また、現役のプロが講師として教えるケースも多く、業界の最新動向や現場のノウハウを直接学べることも大きなメリットです。
早期の社会人デビューを希望する人
「できるだけ早く社会人になりたい」「学生生活は短めに、早く自立したい」という方にも専門学校はおすすめです。2年間(一部の学科では1年間)で卒業できるため、大学よりも早く社会に出ることができます。
早期に就職することで得られるメリットとしては、以下のようなものがあげられます:
- 同年代より早く収入を得られる
- 実務経験を積む期間が長くなる
- 年齢的に若いうちからキャリアを築ける
- 経済的自立が早くできる
特に、家庭の経済的な事情で長期間の進学が難しい場合や、一日でも早く自分の力で生活したいと考えている方にとって、専門学校は現実的な選択肢と言えるでしょう。
大学が向いている人の特徴
次に、大学が向いている人の特徴を見ていきましょう。
幅広い教養を身につけたい人
「様々な分野の知識を広く学びたい」「教養を身につけて視野を広げたい」という方には、大学進学がおすすめです。大学では、専門分野だけでなく多岐にわたる一般教養科目を学ぶことができます。
この幅広い学びを通して、多角的な視点や思考力、問題解決能力を養うことができます。例えば、理系学部に在籍していても文学や哲学の授業を受けることができ、文系学部でも統計学や情報科学を学ぶ機会があります。また、専攻以外の講義を自由に選択できる場合も多く、自分の興味に応じて学びの幅を広げられることも大学の魅力です。
このような総合的な学びは、将来どのような職業に就いても役立つ基礎力となります。
研究志向や理論に興味がある人
「物事の原理や理論を深く理解したい」「研究活動に携わりたい」という方には、大学の学習環境が向いています。大学では、実践的なスキルよりも、その背景にある理論や原理を学ぶことに重点が置かれています。
特に3年次以降は研究室に所属して卒業研究に取り組むことが一般的で、専門分野をより深く掘り下げる機会があります。指導教員のもとで研究活動を行い、学会発表や論文執筆にチャレンジすることもできます。
また、大学院への進学を考えている方にとっては、大学での学びは必須のステップとなります。研究者や高度専門職を目指す場合は、大学での基礎的な学びが重要な土台となるでしょう。
大学卒の学歴が重視される業界を目指す人
「大企業や公務員を目指している」「学士の学位が必要な職業に就きたい」という方は、大学進学を検討するべきでしょう。日本では依然として、特定の業界や職種では大卒の学歴が採用条件となっている場合があります。例えば、以下のような職業や業界では、大卒の学歴が重視される傾向があります:
- 総合商社や大手金融機関
- 国家公務員・地方公務員(上級職)
- 教員(高校や中学校の教員免許取得には大卒が条件)
- 研究職や専門職(弁護士、医師など)
また、大企業の総合職や大手企業の採用では、新卒一括採用の際に大卒を条件としているケースも少なくありません。将来のキャリアパスによっては、大学卒業という学歴が有利に働く場面もあることを考慮して進路を選ぶことも大切です。
専門学校と大学の就職状況を比較
進路選択において重要な要素の一つが「卒業後の就職」です。専門学校と大学では、就職状況にどのような違いがあるのでしょうか。
就職率と就職先の傾向
文部科学省の「令和5年度大学等卒業者の就職状況調査」によれば、高等専門学校及び専修学校(専門課程)の就職率はそれぞれ100.0%と、過去最高の水準を記録しています。就職先は主に専門分野に関連した企業や施設が中心となり、学んだスキルを直接活かせる職場に就職するケースが多いです。
一方、大学の就職率は同調査によると98.1%となっており、こちらも高い水準です。ただ、就職先は幅広い業種・業界に分散しており、必ずしも専攻と直結しない業界に就職することも珍しくありません。例えば、文学部卒業生が金融機関に就職したり、理学部卒業生が IT 企業に就職したりするケースもあります。
業界別に見る採用傾向の違い
業界によって、専門学校卒と大学卒のどちらが有利かは異なります。
専門学校卒が有利な業界・職種;
美容・理容業界:美容師、理容師など
調理・製菓業界:調理師、パティシエなど
医療技術分野:臨床検査技師、診療放射線技師など
IT業界の技術職:プログラマー、Webデザイナーなど
アニメ・ゲーム業界:アニメーター、ゲームクリエイターなど
大学卒が有利な業界・職種;
金融業界:銀行、証券会社、保険会社など
総合商社・大手メーカーの総合職
公務員(特に国家公務員・地方上級職)
教育業界:中学・高校教員など
研究職:大学研究員、企業の研究開発職など
先にも触れましたが、日本では依然として大卒の学歴が採用条件となっている業界や業種が多いのは事実です。ただし、近年は学歴よりも「何ができるか」が重視される傾向も強まっており、専門的なスキルを持つ専門学校卒の評価が高まっている業界も増えています。特に人手不足の業界では、即戦力となる人材を求める声も大きくなっています。
キャリアサポート体制の特徴
専門学校のキャリアサポートは、業界とのつながりが強く求人情報が豊富で、分野に特化した就職指導が受けられます。就職対策(履歴書・面接指導など)が充実していて、インターンシップや企業実習の機会も多くなるでしょう。
一方で大学は、大手企業や様々な業界の求人情報が幅広く集まります。OB・OG訪問など、卒業生のネットワークを活用でき、就職セミナーや企業説明会が学内で多数開催されたり、インターンシップ情報が充実しているなど、より幅広い選択肢を視野に入れた支援を受けることができます。
ただし、同じ大学・専門学校でも学部・学科によってサポート体制に差があることもあるため、進学を検討している学校のキャリア支援体制は事前にチェックしておくことをおすすめします。
専門学校から大学、大学から専門学校へのルート
「専門学校か大学か」は必ずしも二者択一ではありません。両方の良さを取り入れるルートもあるので、その可能性も知っておきましょう。
専門学校卒業後の大学編入の可能性
専門学校から大学への道も開かれています。「専門士」または「高度専門士」の称号を取得した場合、大学への編入学資格が得られます。
専門士(2年制以上の専門学校卒):大学の3年次への編入学資格を得られます
高度専門士(4年制の専門学校卒):大学院の入学資格も得られます
ただし、実際に編入できるかどうかは、各大学の編入試験に合格する必要があります。編入試験では、筆記試験(英語や専門科目)や面接などが行われることが一般的です。
専門学校で実践的なスキルを身につけた後、大学でさらに理論的な学びを深めるというルートは、両方の教育機関の良さを活かした選択と言えるでしょう。
大学在学中・卒業後に専門学校へ行くメリット
大学に在学中、または卒業後に専門学校へ進むケースも増えています。
大学で学んだ理論的知識に専門学校での実践的スキルが加わることで、より総合的な力を身につけられます。大卒の肩書きと専門的なスキルの両方を持つことで、就職市場での競争力が高まることにも期待できるでしょう。大学で学んだ分野とは別の道に進みたいと考えた場合、専門学校で新たなスキルを身につけてキャリアチェンジする選択肢もあります。
例えば、文学部を卒業した後にWeb制作の専門学校に進み、Webデザイナーとして就職するというケースや、経済学部卒業後に調理師専門学校で学び、料理人になるというケースなどがあります。
W(ダブル)スクールという選択肢
最近では、大学に在学しながら同時に専門学校に通う「Wスクール」を選択する学生も増えています。これにより、大学での幅広い教養と専門学校での実践的スキルを同時に身につけることができます。
時間を有効活用し、大学卒業という学歴と専門的なスキルの両方を得られることで、就職活動の際の選択肢も広がることでしょう。
一方で、学費の二重負担や、時間的な管理や精神面での両立の難しさはあるため、覚悟は必要です。
Wスクールを検討する場合は、自分の時間管理能力や経済状況、体力なども考慮して慎重に判断することが大切です。また、大学によっては授業の出席率が重視される場合もあるため、両立が可能かどうかをよく確認しましょう。
自分に合った進路の選び方
最後に、自分に合った進路を選ぶための具体的な方法をご紹介します。客観的な情報だけでなく、自分自身の適性や希望をしっかり見つめることが大切です。
適性診断と自己分析
進路選択の第一歩は、自己分析です。
自分の興味・関心は何か?自分の性格や特性は?将来のビジョンは?
こういった自己分析を通して、自分の適性や志向性が見えてくるはずです。また、学校のキャリアカウンセラーや進路指導の先生にも相談してみると、客観的な視点からのアドバイスを得られるでしょう。
オープンキャンパスには必ず参加しよう
進学を検討している学校のオープンキャンパスには必ず参加しましょう。
実際にその学校の雰囲気を肌で感じることも重要です。「ここで学びたい」「ここにいる人たちと一緒に過ごしたい」と思えるかどうかも、選択の重要な基準になります。
オープンキャンパスや学校説明会では、在校生や卒業生の話を聞ける機会もあるので積極的に活用しましょう。質問を通して、パンフレットやホームページだけではわからない現実的な情報を得ることができます。複数の人に同じ質問をして、多角的な視点を持つことも大切です。
オープンキャンパスの過ごし方や注意点については、以下の特集記事もぜひ読んでみてください!
あなたに合った選択をするために
専門学校と大学、どちらが「良い」という単純な答えはありません。それぞれの教育機関には特徴やメリット・デメリットがあり、あなたの目標や適性によって最適な選択は変わってきます。
専門学校と大学の組み合わせという選択肢もあることを忘れないでください。あなたのキャリアプランに合わせて、柔軟に考えることが大切です。
進路選択は人生の大きな分岐点です。十分な情報収集と自己分析を行い、自分自身が納得できる選択をしてください。この記事が、あなたの進路選択の一助となれば幸いです。
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