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【独自取材】奨学金から住まいまで。仙台・菅原学園の多角的学生支援とは。

【独自取材】奨学金から住まいまで。仙台・菅原学園の多角的学生支援とは。
「専門学校デジタルアーツ仙台」や「仙台総合ペット専門学校」など、仙台と東京で5つの専門学校を運営する菅原学園。同学園は専門学校のほか、幼児教育から大学までの幅広い教育機関と社会福祉法人も運営しており、東北・仙台エリアで進学を検討する高校生やその保護者の間でもよく知られています。創立75年を超える歴史の中で、学生の経済面や生活面を多角的に支援する独自の取り組みを続けてきました。

進学を考える高校生やその保護者にとって、学費や生活費の負担は大きな課題です。その充実したサポート体制はどのように築かれてきたのでしょうか。

今回は、菅原学園の専門学校 仙台総合医療大学校の皆さんに、お話を伺いました。

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簿記から医療まで─75年の進化

――まず、菅原学園の歴史と特徴について教えてください。

横山教頭:当学園は、1949年(昭和24年)に「簿記学校」としてスタートしました。それからIT分野、ペット関係、そして医療福祉と専門分野を広げてきました。東京も含めると、現在5つの専門学校がありますが、その時代に必要なキャリア形成や人材育成を中心に据えながら、学校が増えていったという経緯があります。

画像:菅原学園ウェブサイトより
画像:菅原学園ウェブサイトより

鈴木さん(企画広報室):保護者の方からは、学生を生活面も含めて手厚くサポートしているというご評価をいただいています。例えば仙台総合医療大学校は市街地から少し外れている分、学食にも力を入れるなど、一人暮らしを心配されている保護者の方にも安心していただけるよう取り組んでいます。

学園としては75年を超える歴史があるので、地元の企業や施設からもお声がけいただくことが多いですね。その繋がりから、地元企業のインターンシップや求人のお話をいただくことも多く、さまざまな面で地域の皆様にご支援いただいています。

20年以上続く学園独自奨学金

――学費の支援について、具体的にはどのような制度がありますか?

工藤さん(入学相談課):学園独自の奨学金制度があります。これは卒業すれば原則返還の義務がないもので、年間24万円、最長4年課程だと96万円の給付を受けられます。この制度はもう20年以上前から続いているんです。

渡辺さん(事務室):数年前に国の修学支援制度が始まったことで状況が変わりました。学園奨学金に採用される家計状況の方は、国の制度の一番手厚い支援対象とほぼ同じなんです。金額的に国の制度の方が手厚いため、そちらを選択する学生が多くなっています。

――国の制度ができる前は、学園の奨学金が大きな支えだったんですね。

渡辺さん:そうですね。国の修学支援制度ができる前までは、学園の奨学金制度が主流な学生支援でした。基本的に非課税世帯の方々が中心でしたが、本当に助けられた学生は非常に多かったと思います。

2人に1人が利用する支援制度

――他にはどのような経済支援がありますか?

鈴木さん:各種特待生制度ですね。試験特待生制度では一般教養のテストを受けて、その結果次第で減免があります。デジタルアーツ仙台では、クリエイティブ特待生として、イラストや漫画志望の学生が自分の作品を出して評価を受ける制度もあります。

共通するものとしては、部活動や皆勤賞、取得資格などを評価する各種優遇制度もあります。それと学費分割納入制度も特徴の一つで、5種類程度の納入パターンがあり、状況に応じて負担を軽減しながら学費を納めていただけます。

――実際の利用状況はいかがですか?

鈴木さん:分割納入制度は2人に1人ぐらいの学生が利用しています。特待生等の減免制度に関しても入学者の半数以上が採用されますね。やはり減免があるかないかは、ご進学にあたって、すごく大きいと思います。

定期代をゼロに近づけたい

――通学面での支援もあると伺いましたが。

鈴木さん:仙台総合医療大学校は、仙台駅からは少し離れた場所にあるので、仙台駅からのスクールバスを毎日走らせています。また、車での通学も可能にしています。

スクールバス(写真提供:菅原学園)
構内の駐車場(写真提供:菅原学園)

横山教頭:公共交通機関の定期代や移動の費用削減を考えますと、スクーバスを利用してもらうことが一番ですが、昨年度から宮城交通様と仙台市営交通様による「せんだいFREEパス」が始まりました。この2社の路線バスでは学生限定・月額8,000円で仙台市内どこでも行けます。

仙台駅西口バスロータリー

――フリーパスは学生にとって便利ですね。

工藤さん:利用者は多いですね。通常の定期のような特定区間ではなく広範囲なので、アルバイトや遊びに行くときにも便利なんです。学生のほとんどがアルバイトをしているので、移動の自由度が上がることも大きなメリットです。

住まい選びのサポート

――住まいについてはどのような支援がありますか?

工藤さん:仙台総合医療大学校の場合、約7割の学生が親元を離れて暮らしています。宮城県内出身者は約3割、残りは東北5県から通学しています。そこで、食事付きの学生寮『ドーミー八乙女』、『ドーミー泉中央』などを学園契約寮として特別料金設定をしています。また、オープンキャンパスでは、学生寮を運営している会社さんに来ていただいて、住まいの専門の方々にお話しいただく機会を作っています。

学園契約寮の一つ、ドーミー八乙女(写真:共立メンテナンス)

――学校として住まい選びもサポートされているんですね。

鈴木さん:そうですね。不動産会社さんに直接行って話を聞くのは大変ですが、オープンキャンパスに来ることで学校と住まいの両方について知れる、一石二鳥の機会を提供しています。遠方から来た方が、オープンキャンパスと寮見学を1回で済ませられるよう日程を調整することもありますし、見学もできるので、より具体的に一人暮らしをイメージして、保護者の方と一緒に安心して選んでいただけるのかなと思います。

費用の透明性は学校の信用

――学費について、保護者の方からはどのような質問がありますか?

工藤さん:学校によって学費の掲載方法が違っていて、何が含まれているかが曖昧な場合があります。本校では、教科書代や実習費など、後から『聞いていなかった』ということがないよう、すべての費用を詳細に明示しています。

実際に去年、他の学校で『聞いていた学費と違って高かった』という理由で受験をやめて、本校を希望した学生もいました。学校の信用にも関わることなので、透明性は大切にしています。

理学療法士の実習イメージ

――実習費用についても詳しく説明されているんですね。

工藤さん:最近は保護者の方から『実習でかかる費用はどのぐらいですか』という質問が増えています。他県での実習の宿泊費や交通費、実習費用の負担がどうなるかなど、昔に比べて詳細に質問されることが多くなりました。

試験勉強を乗り越えるために

――学生生活を充実させるための取り組みはありますか?

横山教頭:どうしても国家試験合格がメインになりますが、『学生に楽しみを与えたい』という思いがあります。コロナ禍明けということもあり、去年は初めてスポーツ大会をやったり、今年は文化祭を復活させました。

Instagram:スポーツ大会の様子

また、今年は校内でキッチンカーなどの出店をお願いし、移動販売を始めました。本町の3校でよくやられていたんですが、学生のちょっとした楽しみとして導入しました。

――学生さんの移動販売への反応はどうですか?

工藤さん:クレープやアイス、雑貨など、いろんな業者さんに来ていただいています。学生がたくさん登校してくるときや試験前の大変そうなとき、節目節目で呼べるよう計画しています。

信頼が紡ぐ世代のつながり

――最近の学生の傾向で気づいたことはありますか?

渡辺さん:今年から多子世帯支援が拡充されました。全学生の26%が修学支援制度の対象になっていて、そのうち6割以上が多子世帯支援の対象なんです。思った以上にきょうだい3人以上の世帯が多いんだなという印象を持ちましたね。

工藤さん:本学では、親族の卒業生や在校生がいる場合の『学費減免制度』もありますし、おかげさまで学校の知名度も上がってきているので、『きょうだいがここを卒業したから』『入学しているから』という理由で来てくれる方も年々増えています。

鈴木さん:学費だけでなく、資格取得や就職実績も含めて、学園を選んでいただく価値を感じてもらえるよう広報活動をしています。長年の実績があるからこそ、おかげさまで地域の皆様に選ばれ続けているのだと日々実感しています。

――ありがとうございました。

75年を超える歴史で培った菅原学園の学びの支援。奨学金制度だけでなく通学・住まい・学生生活まで多岐にわたります。「定期代をゼロに近づけたい」「聞いていなかった費用をなくしたい」という学生や親御様の目線に立った取り組みの積み重ねが、世代を超えて選ばれ続ける理由なのかもしれません。

お話を伺った方

  • 横山教頭 仙台総合医療大学校 教頭
  • 鈴木さん 同学 企画広報室
  • 工藤さん 同学 入学相談課 課長
  • 渡辺さん 同学 事務長(奨学金・就学支援制度担当)
  • 永沼さん 同学 学生課長

関連リンク

菅原学園 公式サイト

学費サポート制度について

各校のサイトをご確認ください。

学園契約寮について

(取材・西泰宏/協力:菅原学園、専門学校仙台総合医療大学校、学生会館ドーミー東北支店)

ライター
ドーミーラボ編集部

「夢中になれる学生生活」を探求するウエブマガジンです。進学や進路のあり方、充実した学生生活をおくるために実践できる知恵やヒントを発信していきます。